里中 満智子
ブッダをめぐる人びと

あなどれない一冊。

図書館の新刊棚にあって、あまり読む気もしなかったのですが
漫画だったので借りてみました。

里中満智子さんは存じあげてはいましたが、
漫画を読むのは初めて。

ブッダ(お釈迦さま)をめぐる弟子や、親族など26人が
ブッダに出会い、ブッダの言葉を聞いて、
どのように変わっていったか・・・というようなエピソードがまとめられています。

はじめは、昔の少女漫画によくある、ちょっと大袈裟な表現が気になったり、
ひとつのエピソードが短くて、内容が薄いのかな・・・と思っていたんですが、

いやいや、5人目のエピソードあたりから、どんどんおもしろくなってきて、

最後には、漫画だからとあなどってはいけない、
イイ本じゃないか!と思ってしまいました。

ブッダがとてもおだやかで美しく描かれていながら、
なおかつ我々と同じ人間なのだ、と感じられ、
とても魅力的です。

仏教には
前世とか生まれ変わりという考え方もあって、

私はそういうことには今まで懐疑的だったんですが、

この本を読んでいるうちに、

前世とか生まれ変わりは、「あるかないか」で考えるんではなくて、

例えば、いま目の前にいる猫が、前世の母親の生まれ変わりかもしれない・・・

と、考えたら、その猫を大切に扱うことができる。

要は、「前世はあるかないか」が大事なことなんではなくて、

猫に限らず生き物全般、周りの人々に
「思いやりをもって接すること」の方が大事。

その「思いやりをもって接すること」ができるようになるために編み出された(?)のが、前世とか生まれ変わりっていう考え方なのかなぁ・・・と

今、私は考えたりしているのでした。
先月は久しぶりに更新を再開したせいか、

当ブログ恒例の、
月末に挫折本を記事にするのをすっかり忘れておりました・・・。

というわけで、今月は+αということで、ちょこっとオマケも。


今月の挫折本は、1冊。

岩波書店編集部
日本古典のすすめ

岩波ジュニア新書です。

日本の代表的古典14編(『源氏物語』や『徒然草』などなど)の
魅力やおもしろさを

それぞれの第一線の研究者が語る、というもの。

読み始めたものの、なぜか興味がわかなくて、あえなく挫折。

第一線の研究者の方々とあって、ちょっと堅めだったかな、とも思います。


ここからは+α

更新をお休みしていたあいだにも、挫折本は数知れず・・・。

思い出せる範囲で記事にしてみたいと思います。
畠中 恵
しゃばけ

売れているので、そんなにおもしろいのかぁ! と思って読んでみました。

確かに読みやすいし、おもしろかったです。

でも、はじめの数十ページで挫折。

何でだったかは、今となっては思い出せません。


続いては・・・
江國 香織
間宮兄弟

江國さんは大好きなのに、挫折しました・・。

これは自分でも衝撃でした。

祖母の介護やらなんやらの最中に読んでいて、
江國さんの世界に没頭できませんでした・・・。

また機会があったら、読みます。


この他にも、いっぱい挫折した本があったような・・・
思い出したら、また記事にしてみたいと思います。

今月はこんな感じで。
石井 裕之
「心のブレーキ」の外し方~仕事とプライベートに効く7つの心理セラピー~

なんで三日坊主になっちゃうの?

例えば、「今日からダイエットするぞ!」とか「今日から語学を身につけるぞ!」
と、勢い勇んで始めたものの、

いつのまにか、「今日はやりたくないけど、明日はやろ~」ってな感じで
なかなか続かない・・・・・・のはなぜ?

実はその原因は、潜在意識が現状を維持しようとするからなのだ!

というようなことが書かれた本(CD付)です。

潜在意識の説明には「なるほど~」と納得しつつ、
最後に明かされる「じゃあどうすれば良いのか」という方法は意外と堅実だったりします。

「一瞬で変わる」とか「劇的に変化する」と書かれた本もありますが、
実は、この本の方法が、一番堅実で、近道なのかもしれません。

付録のCDも「なんかちょっと怪しいな~」と思いつつ聴いてみましたが、

文章だけでは伝わりきらない部分が、
「声」で伝わってくるのはおもしろくて、

本を読むだけよりも、聴くとやる気が出てきます。


けど、1週間くらいでまたモチベーションが元に戻っていく私・・・。
いかん! いかん!
田中 貴子
古典がもっと好きになる

古典を身近に。

中高生向けの、岩波ジュニア新書の1冊。

でも、受験に即役立つ、という類の本ではないので、
受験生にはオススメできません。

なんてったって、
文法なんかわからずとも古文は楽しめるのだ!という本なのだから。

古典はおもしろいのに、
今の学校教育が子供たちを古典嫌いにさせているのだ、という著者は

岩波書店なのに大丈夫?というような発言もあったりして楽しめます。

そして、古典―国文学―日本文化を守ろうとする情熱が
とても伝わってきて、

古典にもっと親しもう、日本文化をもっと知ろう、という気にさせてくれます。


大角 修
図説 法華経大全―「妙法蓮華経全二十八品」現代語訳総解説

充実の内容。

ちょっと専門書の粋に入ってるかなぁ~とも思える本なので、
軽く記事にしておきます。

「なんみょーほーれんげーきょー」と言えば、
お経なんて知らないよ、という方でもご存知なのでは。

その「妙法蓮華経」というお経は、全部で28章あって、
ちょっぴり物語っぽくなっています。

登場するのは、仏や如来、菩薩。

現代人からしたら、荒唐無稽とも思える内容で、
長さも結構なものです。

いくら現代語訳されているとはいっても、
仏教に興味のある方でも、なかなか読了するのは大変かもしれません。

が、この本はなんと言っても資料が豊富で、
脚注やコラムも充実しているので、

頑張って読めば、得るものは大きいです。

般若心経や観音経などの入門書などにちょっと触れたことがある方が
この本を読めば、なお一層、理解も深まってくるかと思います。

少し厚めの本で、お値段もやや高めですが、
内容は充実していて、読みやすいので、

仏教系の本にご興味のある方にはオススメです。
アーシュラ・K. ル・グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin
影との戦い―ゲド戦記 1

ファンタジー文学の傑作・・・・・・納得。

これも、昨年の映画公開時に読んで、記事にしていたものです。

UPしていなかったので、今さらですが、UPしておきます・・・。



映画を見ずに読んでみました、ゲド戦記。

宮崎駿監督に多大な影響を及ぼした、というのが
とってもよくわかりました。

読んでみると、ここもあそこも、宮崎駿監督作品で見たぞ!という感じです。

あらすじは、題名そのものといった感じなのですが、

不思議な力を持っていた少年ゲドは、
魔法を学ぶために、魔法使いの学校に入ります。

彼は人よりもデキる、という高慢さから
禁じられた呪文を唱え、恐ろしい影を呼び出してしまいます。

それから影はゲドを付け狙いはじめます。
果たしてゲドは、影に勝つのか、負けるのか、それとも・・・・・・。

何度読んでもどうしても挫折してしまう『指輪物語』と比べると、
大変読みやすく、

だからといって、『指輪物語』よりも世界観が浅いか、といったら
そんなことはありません。

地図も詳細ですし、物語の根底にはしっかりとしたものがあるのが伺えます。

しかも、文章表現が端的なので、テンポ良く読み進められて
なおかつ少ない描写でも、読み手の想像力が ”ぶわっ” とふくらみます。

どうしたって人間、生きている限りは
自分の醜い部分や、闇の部分に出逢わざるを得ません。

それは、少年・少女時代かもしれないし、
大人になってからかもしれません。

そのときに、人はどうすべきなのか、
そんな誰もが経験する普遍的なテーマが描かれた作品で、

だからこそ、今までに多くの人の心を打ってきたのだなぁ・・・と思いました。


このあと、2巻3巻と続けて読んだのですが、
感想を書いておきませんでした・・・。
(でも、2巻も3巻も良かったです!!)

ちなみに4巻以降は未読です。
Amazon のレビューを見ていたら、読まなくてもいいかなぁ・・・と思ってしまったので・・・。
松原 泰道
わたしの法華経―「梁塵秘抄」を通して

頭が上がりません・・・

この本も、昨年の7月に読了して記事は書いておいたのですが
ブログにUPしていなかったので、少々修正してUPしておきます。



この本の作者・松原泰道(まつばら・たいどう)師は
今年100歳になられます。

今現在も、勉学に励まれ、執筆もされています。

少しの間でしたが、高齢の祖母と同居していた私としては
ただただ、恐れ入るばかり。

この本は、法華経を
平安期の歌集「梁塵秘抄」と共に解説されたもので、

結構分厚く、文字の量もあります。

それを、松原泰道師は、今から6年前に手書きで執筆されたのだから、本当に驚きです。

そして、もっと驚くべきは、その内容。

決して上から「教えてやろう」なんて言い方でもなく、ご自身の教養をひけらかすでもなく、
「一緒に学んでいきましょう」という、謙虚な語り口。

それでいて、内容や引用からは、
老師の博学さ、頭の良さがうかがえ、感動してしまいます。

解説は、少々専門的になっているので、
仏教に興味のない方や、1冊も仏教系の本を読んだことがない方には難しい部分もあると思いますが、

この法華経の内容、実は大変文学的で、壮大なんです。
読んでいて、思い出したのは、なぜかゲーテの『ファウスト』。

(『ファウスト』は悪魔だけれど、『法華経』は釈尊と菩薩です)

本自体には、法華経の経文は載っていないので、
次は岩波文庫で経文を読もうと思いました。

そして、ものすごく心にグッときた文章がいくつかあって、
本当にもう感動して、頭が上がらない思いでした。

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女

驚くほどリアルなCG?

このDVD、昨年の8月に見たんですが、

記事にしておきながら、UPしてなかったので、今さらですがUPします・・・。

ちょっとあっさりめな感想になってますが、ご了承ください。



さてさて、一気にというわけではなく、時々中断しながらも、
ナルニア国物語を鑑賞しました。

『ロード・オブ・ザ・リング』のスタッフが参加するということで、
映画をとても楽しみにしていて、

事前に原作も読みました。その記事は→こちら

あらすじに簡単に触れますと・・・

4人の兄妹が、疎開先のお屋敷の洋服ダンスから、
「ナルニア」という異世界に入ってしまいます。

そこは、白い魔女によって、冬の世界に閉ざされていて・・・


原作があっさりした感じだったので、
映画ではもっと膨らませるのかなぁ、と思っていましたが、原作に忠実な映画化でした。

ディズニー映画ということで、戦闘シーンなどの残虐な場面も控えられています。

個人的には、「ここをもっと膨らませたら、感動するのになぁ」とか、
「この人物をもっと掘り下げたら、泣けるのになぁ」と思いながら見てしまいました。

そして、なぜか妙に気になったのが、CG。

CGってわからないくらい、リアルなら良かったのですが、
なぜか思いっきりCGっぽいのが気になりました・・・。

でも、まぁ、そんな細かいことは気にせずに観れば、
ビーバーさんが、ものすごくかわいいです。
昨夜、身に覚えのない小包が届きました。

送り主を見てみると、
「コカ・コーラ ハッピーウィンター ディズニーわくわくプレゼント係 キャンペーン事務局」

???なんだっけ?

さらに送り主の下の欄を見てみると・・・
「どきどきムービーコース在中」の文字。

!!!思い出した!!! そういえば去年、ハガキ出したっ!

しかも、この中身って! まさかっ!! アレッ?!

と、興奮状態で箱を開けてみると・・・

じゃじゃ~ん!

ビックリ!当たっちゃいました!!

当たってしまいました! 

ミッキー型のオリジナルDVDプレーヤー&キャリングトートバッグセット
(写真が悪くて、ごめんなさい)

もうビックリです。こげなものが当たるなんてッ!

懸賞品だというのに、リモコンもついてればイヤホンもついてるし、
TVとつなげるコードもついてたりします。

しかも、再生とか基本的なことしかできないんでしょ・・・と思っていたら、

ダイジェスト再生とか、ズームとかアングル切り替えなどなども出来て、
機能充実! (保証書もちゃんとついてました)

画面は4インチという大きさながら、映像もきれいです。


はじめっから、どうせ当たらないし・・・と思って、
一番いい品で、当選人数の少ない(3000名)のを希望して、
しかもハガキ1枚しか出さなかったのですが、

懸賞というのはわからないもんです。

欲しくて欲しくて何枚もハガキを出された方もいらっしゃるだろうに・・・と思いつつ、
大事に使わせていただきます。

みなさまにも、何かいいことがありますように。

ブログを通じて少しでもこの運のおすそわけができるように、念じております(笑)
Chris Van Allsburg, 村上 春樹, クリス・ヴァン オールズバーグ
魔術師アブドゥル・ガサツィの庭園

不思議で不穏な味。

まず、声に出して題を読んでみましょう。

『魔術師アブドゥル・ガサツィの庭園』

・・・舌噛みそうです。

しかも、この「なんじゃこりゃ?」っていう題名に負けず劣らず、
内容もとってもヘンな感じ。

逃げ出した犬を追って、少年が入ってしまったのは

”ぜったいに、何があっても、犬を庭園に入れてはいけません。引退した魔術師ガサツィ。”と書かれた庭園。

そこで、少年が体験した不思議な出来事とは――。

読み終えたときに、「こういうお話も絵本になるんだなぁ」という軽い驚きがありました。

なんというか、お話の構成自体はシンプルで、想像のつくような展開なのですが、
読み終えると、奇妙な味が残るといった感じ。

そのヘンな感じを強烈にしているのは、
オールズバーグの絵。

全ページモノクロというシンプルさながら、
やっぱりとっても奇妙。

絵なのに、動いているような不気味な躍動感があって、
とっても不穏な感じです。

小さな時に出会っていたら、「なんかわかんないけど、気持ち悪いけど心惹かれるようなヘンな感じ!」と大人になっても印象深い1冊になっていたと思います。

もちろん大人が読んでも、やっぱりヘンに印象に残ることは間違いありません。

奇妙なお話や読後感が好き、という方にはオススメです。